『後編』をご覧になられた方、いかがでしたでしょうか!?

A3・A5だから美味しいという抽象的な概念ではなく、『味』に注力する小国さんの熱い想いは伝わったでしょうか。

共同開発編では、お待ちかねの小国さんのその想いが詰まった『ひげオリジナル』に関する話をごゆっくりとお楽しみください。

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ひげさんと作っている牛肉についてお聞かせください。

ひげさんはステーキハンバーグのお店なので、そういうジャンルに合わせた味の牛肉を作れるのではないかと考えました。じゃあ『ひげオリジナル』を作ろうと。

飲食店によっては好む味も違うし、ひげさんみたいにステーキメインで食べるところだと、もっとワイルドな感じが良いので、あんまり繊細すぎる味だとつまらない。

ただの規格だけで評価される牛ではなく、その飲食店の嗜好やスタイルに合わせた牛づくりをとにかく高橋社長と実践してみたかったという思いですね。

そういう点では、お互い新しいことを恐れずにチャレンジしようとする野心が同調したのかもしれませんね(笑)

だいたいの牛飼いは、出荷してしまえばランクが決められてそこで育てた人の仕事は終わりますので、お客さんどころか、どこの飲食店で使われているかも把握していない牛飼いの方が多いと思います。

そして、『ひげオリジナル』ですが、私達は、和牛寄りの育てかたで交雑も育ててきたのですが、僕的には『和牛は濃い。』『交雑は薄い』っていうイメージがあります。

でも、交雑は輸入牛に比べて繊細です。

和牛にも近いけど繊細っていう感じでしょう。

そこで繊細過ぎると和牛でいいじゃんってなるから、その中間あたりで食べやすくて癖があるみたいなイメージですけど、そこをうまく表現したいんです。

それがひげオリジナルビーフだと思っているのですが、僕もアメリカに2年いましたが、やっぱりアメリカで食べるステーキって美味しいんですよ。

それは食べる場所の雰囲気もあるし、土地感っていうのもあると思います。

でも、それをそっくりそのまま日本でやってもうまくいくか?

って言われたらそれもまた違うと思っているのですが、やっぱり、僕的には函館にあった味の追求の結果がひげオリジナルであってほしいと心から思っております。

 

輸入牛と今後の業界についてお聞かせください。

なんとなく肉ブームの今は、美味しいだけじゃなくて、価格と中毒性のあるものをつくらなきゃならないと思って日々試行錯誤しております。

これからのステーキ業界に独自感を出す為に先進的な発想が求められています。

やはり日本人は繊細な和牛を食べているので、そのうち輸入牛には慣れがきて、もう少しを求めると思います。

その時に、A5にしか興味のない人は置いていかれますよ?ってのがステーキ業界には必要だと思います。

焼肉業界とはまた違う考えでいく必要がありそうです。

焼肉とステーキハンバーグってそれだけの違いがあるんです。

肉の作り方もホントに違うと思います。

「ステーキ文化」と日本みたいな「すき焼き文化」じゃ牛の作りも変えなきゃいけないなと思っているので、『ひげオリジナル』をつくろうと思っております。

ひとつ難しいのが年齢を増すごとに味が深くなります。「若い=浅い?あっさり?」になっていきます。

そこを個体は小さくても深くしていくことは出来ないことではないので、今まさに新しい取り組みでやっているのが『ひげオリジナル』です。

今まで本当に誰もやっていることではなくて、『今までの日本の食文化の形式ではありえなくて、従来の格付けからはかけ離れている新しい感覚。』を生み出すものです。

A5にこだわって作るのもものすごい技術ですが、僕は日本の和牛自体が日本の宝だと思っています。

一つの規格のために目標があるわけではなく、その宝の魅力をもっと引き出して牛肉を作る。

まだまだ可能性があるのが「WAGYU」とか日本の畜産技術ですよ。

北海道の僕らだからこそ、もっとできるんじゃないかっていうことを訴えたいと思っております。

特に僕は変人だから、規格にはなんの興味もなく、とにかく肉食いたいって思う人が求める牛を作りたいんです。