2018.11.26.
【連載企画 -前編-】おぐに牧場さんに潜入インタビュー取材を敢行!!
2018年度から『ステーキ専用オーダーメイドビーフ』の開発を共同でさせていただいております、北斗市『おぐに牧場』さんに先日、潜入インタビューを敢行させていただきました。
今回は、その『おぐに牧場』を経営する小国さんの素顔に迫るべく、牧場誕生のルーツと言えるべく、アメリカ留学の話から現在育てている『ひげプライム』の味に対する熱き想いを一挙大公開致します。
それでは、前編の方をお楽しみください。
おぐに牧場をはじめたきっかけとその経緯
高校卒業してからアメリカに二年行ってきました。
きっかけは農業がしたくてアメリカに行ってみたかったんです。
始めは農業に対する興味はそれほどなかったんですが、大学受験に失敗していろいろ考えていた最中に、自分のできることは?と悩んだ結果、アメリカへの思いが芽生えました。
皆と同じ事をしても違うことをしようと思ったのと「アメリカに行ったら自分自身何か変わるんじゃないか」という期待を抱いて行ってみたんです。
アメリカへの憧れ一つで身を放り投げてみたんです。
そこでの経験がその後の自分の人生に大きく影響し、牧場を始めるきっかけとなりました。
当時のアメリカの牧畜はどんな印象でしたか?
アメリカという国の牧畜業は100年前の開拓当時の姿・形を変えずにカウボーイをしていました。
一方、日本では、100年経った今侍の恰好しているかと言われるとしていませんよね。アメリカの人は100年経った今でも当時と変わらないスタイルで馬に乗って仕事をしていたことに驚きを隠せませんでした。
古きを重んじる開拓者の精神に誇りを持っていた様をまじまじと見てきました。
そういうのを見て「凄いなぁ」って思いました。
当時牧場にいた子供たちに聞いてみたんです。「将来何やるんだ?」と。
そしたら、「ここでずっとカウボーイやる!」って言うんで、「なるほど、開拓者精神が脈々と受け継がれているんだな」って思ったのは今でも忘れません。
その子達の牛を飼ってることに対する気持ちに影響を受け、自分の農業に対する考え方を見直す機会になりました。
日本とアメリカの農業の違いをどう感じましたか。
当時の日本は、仕事に対しホワイトカラーだとか3Kだとかという時代で「きつい」「汚い」「給料安い」で、畜産業や農業はどちらかというと、日の当たらない職業と思われていました。
しかし、日本人てなんか恰好悪いなって思ってる時に、アメリカ人が「お前たち日本人はクールだな」って言うわけですよ。
遠い方の対岸側から日本を見てみた時に、アメリカ人は日本人を尊敬するんです。
当時ピカチュウとかセーラームーンが流行り出して、アメリカ人が初めてそれらを見た時に、日本の文化の凄さに驚愕しているわけです。
僕らは全然これらに気がついてなかったんです。
アメリカのスタイルに憧れて渡米したのに、逆に日本人の文化を評価されたことで、日本の農業を改めて考えるきっかけになりました。
アメリカの牧畜業と違い、日本はとても規模は小さいですが、飼養管理の技術の高さや、和牛への思いが他国では真似できない程の「独自の技術」であることに気づいたんです。
そういう日本の良さがあるのに、その頃の日本の農業はアメリカの農業を真似て、兎に角規模を大きくして、機械化してというのが主流だったのですが、僕には違和感しかありませんでした。
僕はその風潮に流されないように、逆にどうやったら中身が濃くなるのか考えていました。
それは今でもまだ苦労している部分ではあるんですけどね。
アメリカは日本ほど農協のような組織に依存していなくて、自由に競争していたんです。
ということは農家も自分たちの色を出して生きるしか術がない訳です。
今こうやって新しい感覚で牛を売るとか、ものを売っていくっていうことに対して、農家もただ市場に出荷するだけじゃなくて、ビジネスとしてやっていかなきゃ駄目なんだなっていうところでは先駆けで苦労しているのかなって思っております。それを米国で学んだ気がします。
始めた当初の周りの反応はどうでしたか?
当時新規就農ということで、スタートは苦労の連続でした。
「そんな牛作ったって売れるわけねーじゃん」とか「この辺なんか牛肉食う人誰もいねーよ」っていう人も中にはいました。
ただ、その理由を聞いた時にやっぱり、「乳臭い」って言うんです。
「北海道はジンギスカンの土地、牛肉なんてそんなの売れないよ。」と言う人もいました。
でも僕は元々本州の人間だったから、肉じゃがやるにしてもすき焼きやるにしても普通に牛肉食べる訳ですよ。
北海道は、豚肉とかジンギスカンが当たり前じゃないですか。
「その中で俺ホントにやっていけるのかなぁ」って思ったんです。
やっぱりいつも「やめたい、やめたい」って思うぐらい壁は厚かったですね。
その中でも壁になったのはなにが大きいですか。
日本の卸売業者さんが買う目安・手段になるのは、A5ランクなどの「ランク決め」です。
でも、A5ランクの基準は、ロースの断面を「バン!」っと切った時に、その断面を見て「A5」とか「A3」って判断するんです。
その牛の味や育ち方は全く関係ないんです。
能力の高い牛を飼えばA5になりやすいのはわかっていても、お客さんが喜ぶおいしい肉とは違うのではないかと思いました。
0からスタートした人間にとっては、お客さんに何とかリピートしていだくものを何とか作るしかないと僕は思ったんです。
曲がったきゅうりだって味は同じだとしても箱に入らなかったら弾かれる訳じゃないですか。
でもその曲がったきゅうりを「曲がってても美味しいんだよ」って言って、味を理解してもらうために、自分で売って、食べてもらってっていう作業に10数年かかりました。
おかげさまで「おぐにビーフ」を売る時は、ランクで「これはA3 ですよ」とか「これはA5」ですよってあんまり言わなくても理解してもらえるようになりました。
うち(おぐに牧場)は、自分たちの足で売ってきたから、例え牛の個体差があって「ちょっといっつもより脂少ないんですよ」って説明しても実際に食べてもらうと「ばっちりじゃん!」っていう答えが返って来たりするんです。
じゃあ「世の中が言っているA5って何なんだろう。」って思えば思うほど、それは一つの規格でしかなく、味そのものではない。「高い牛(A5)=おいしい」ではない制度基準に違和感は常にあります。
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⇒⇒⇒⇒⇒ 後編に続く ⇒⇒⇒⇒⇒
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いかがでしたでしょうか。
次回の『後編』も乞うご期待くださいませ!!
それではまた\(^o^)/